絵は完成するか？

野口琴絵さん自作に手を入れる

子どものころから指導を受けていた杉谷さんの作品の隣に自作を展示している野口さんが、ギャラリー内で手直しを始めました。先日、杉谷さんと私と野口さんとで合評会となったのですが、もっぱら若手の野口さんの作品が検討対象となりました。

この時、思うところあって筆を入れようと決心されたようです。妥協しないということは、創作活動に携わる者にとっては必須の資質ですが、さて、吉と出るか凶と出るか。

そもそも(完成)とは何なのか？

自己満足か？諦めか？妥協の産物か？何をもって(完成)とするのかは、作者の意図だけではなく、自身の体質のようなものさえ表してしまうものかもしれません。長所も短所も、どこで筆をおくかによって恐ろしいほど露骨に表ざたになるものかもしれません。ですから、安易な気持ちでサインを入れてはいけないのでしょう。

悪戦苦闘した痕跡は必ず残ります。それは薄紙のように堆積して、薄っぺらな人間から分厚い人間へと私たちを育ててくれるはずです。

筆を加えるごとに何かが見えてくる。そんな感動に出会えたいですね。