夢とゴッホ

夢とゴッホ

床掃除をしている夢を見ました。ホースで水をかけているのですが、ジェットの強烈な水圧で、使い古した床板の割れ目を狙い撃ちにしています。そのうち、水圧に負けて次々とめくれあがってゆく床板が激しく波打ち始めました。床だけではありません。壁も窓も、窓の外の隣家の屋根も、晴れ渡った空さえも、小刻みに震えながら、せわしない息づかいのようなリズムで、うねうねとゆらめき立ってきたのです。

これはゴッホのタッチだな、と夢の中で思いました。

私などは幸か不幸か夢の中でしか出会いませんが、ゴッホは日常的に、こんな動的な波打つ風景の中に身をおいていたのかもしれません。動物の荒い息づかいと目の前の風景、これら全く異なる二つの要素を重ね合わせて一枚の絵にしたのかもしれません。それは技法というより、もはやそれ以外の選択肢はなかったのではないか。彼の見ている風景が常に激しく波打っているのであれば。



アートギャラリー まなりや
大阪府枚方市。京阪本線 牧野駅から徒歩3分のアートギャラリー。

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