コナン君の忘れ物

異次元の世界は雨上がりに出現する

『飛び出し坊や』が復活していました。

心無い者によって痛めつけられ、ひどく破損してかわいそうな飛び出し坊やだったのですが、今朝、新しいものに取り換えられていました。朝のやわらかな光の中で、風呂上がりのようにさっぱりした表情をしています。

なんとなくうれしい気分になったので、淀川の土手の石段を勢いよく駆け上がってみました。階段を上がりきったところで、そこに『コナン君の忘れ物』を発見したのでした。

手すりに、握りこぶしほどの小さな運動靴が、落とし物ででもあるかのようにぶら下がっていたのです。わたしには、それが名探偵コナンの忘れ物であることが一目でわかりました。毛利小五郎との体格差を考慮すれば、コナン君の靴はちょうどこのくらいの大きさのはずです。しかも靴の中にはサッカーボールが押し込まれているのですから疑う余地はありません。

私はあたりを見回して、常ならぬ気配がないか注意深く観察しました。雨上がりの重い朝の空気が支配する河川敷には、これといって変わったところは見当たりません。しかし、と私はある重大な見落としに気付いたのでした。

あの『飛び出し坊や』を破損したのは、いたずら好きの中学生や酔っ払いのおっちゃんなどではなく、黒ずくめの組織とコナンの激しいバトルによるものではなかったのかと。

四次元の世界と五次元の世界との間には、私たちが目にすることのない広大な世界が広がっているに違いありません。そこでは、目もくらむばかりの物語が展開されているはずです。枚方市内のありとあらゆる場所を、ポケットモンスターたちがわがもの顔で跋扈しているように・・・。