風景の行方

風景の行方

ため池がなくなる!

今朝、小学校前の畑が10メートル四方にわたって整地されているのを目にしました。用水路に排水管も数本転がっています。噂として聞いてはいたのですが、いよいよ水田が宅地化される工事が本格的に始まるようです。脇のため池も近いうちに土砂で埋め固められることになりそうです。

毎日のように歩いている道の、片側が作り変えられるわけです。右手は小学校のまま、左手がため池を含む水田から住宅に。

この小学校正門前のため池には、日本固有のメダカが住んでいました。貴重な場所として新聞にも取り上げられたことがあります。稲作のために、淀川から引かれる用水路の水の増減に巧みに適応しながら、命をつないでいたのです。ただの水溜まりではありませんでした。

時代とともに風景も変化していきます。それは仕方のないことですが、風景には、そこで生きた人の記憶が埋まっていると思います。

たとえば、小学校の帰り道。かくれんぼで息を弾ませながら身を潜めた路地裏。その路地裏で目にした、日当たりと陰りとの不思議な形のゆらめきの中に、秘密のものがたりを大切にしまい込んで帰った人がいたのではないでしょうか?

風景の中でしか生きてゆけない記憶。

記憶の中でしか生きてゆけない風景。

あまりにも感傷的なこの気分をお伝えするには不十分と自覚しつつ、記念の写真を一枚。



アートギャラリー まなりや
大阪府枚方市。京阪本線 牧野駅から徒歩3分のアートギャラリー。

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